umauma-gohan diary

〜サンフランシスコの暮らしと日々のうまうまごはん日記〜

さようなら、七種さん

きっと何かの間違いだと思った。ファッションフォトグラファーの七種 諭(さいくさ さとし)さんの訃報を知り、未だ信じられずにいる。私がまだ駆け出しだった頃、Satoshi Saikusaは世界の名だたるファッション誌を飾っていた。写真を言葉にするのは難しいけど、気品があって柔らかなのに強い写真。(後期の写真は強いけど)私はSAIKUSAさんの写真が大好きだった。

↓↓↓辻仁成さんの追悼ブログ JINSEI STORIES

https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-2261/

SAIKUSAさんと現場をご一緒したことはなかったけど、印象的な思い出がある。それはとてもエレガントでジェントルなエピソード。今でもその時の記憶が鮮明に残っている。追悼を込めて、今日はここに書き溜めておきたい。

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↑ネット引用

SAIKUSAさんについて先にふれておくと、もともとヘアメイクとして活躍されていた彼が突然フォトグラファーに転身された。今ならヘアメイクやスタイリストからフォトグラファーに転身なんてことはよくあるハナシだが、当時は衝撃的だったに違いない。しかも東京からパリに拠点を移し、28歳でイタリアンVOGUEの編集長・フランカ・ソッツァーニ(Franca Sozzani)に見い出され、日本人で初めて同誌の表紙を飾った。世界で活躍するファッションフォトグラファーの中で日本人フォトグラファーが躍り出た話は聞いたことがなかった。ましてやファッション誌の中でもトップレベルのイタリアンVOGUEのカバーを撮った日本人はいないと思う。ヨーロッパのクリエイティブ業界は年功序列が強く、70〜80代がバリバリ現役で君臨している以上、若者やましてや日本人となるとなかなか前にでることは難しい。厚すぎる壁だ。挫折して帰ってきた人を何人もみてきた。差別が強いヨーロッパでタフじゃないと生きていけない世界。それだけでもすごいのに華麗なる転身だった。

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↑SAIKUSAさんの仕事。Instagramから(satoshisaikusa.magazine)

その若き美男子が活躍されているまさにその時、パリの小さなホテルで偶然お会いした。私が初めて仕事でパリに行った時のこと。モンパルナスの小さなホテルのロビーでロケハンに行くためにコーディネーターが来るのを待っていた時、ふらりと奥様と赤ちゃんを連れてロビーにいらっしゃった。記憶が確かなら、そのコーディネーターに会いにいらしたか、日本クルー(我々)が来ていると知っていらしたか、そんな感じだったと思う。小さな小さなホテルのロビー。私はその男性がSAIKUSAさん本人とは知らず、立って話を聞いていた。SAIKUSAさんはソファーにゆっくり腰をかけて少し話をされた後、私が一人立っていることに気づき「どうぞお座りになって」と手をさしのべて、その席を譲ってくださった。いやいやいや、私はペーペーのアシスタントなので座ることなんて出来ませんとばかりにご遠慮したら、スッと立ち上がって、どーぞとエスコートしてくださった。その後、どうしたか覚えてないが、とにかくその優雅な手ぶりとスッと立ち上がった時の凛とした佇まい、そして「おすわりになって」という男性らしからぬ言葉が若きペーペーアシスタントには強烈な印象として残った。すべてがエレガントだった。あとで聞いたら、あの方がSatoshi Saikusaだと知って、とても興奮したのを覚えている。いま思えば……女性を立たせて、男性が座っているなんて、パリに住んでいるジェントルな彼にはあり得なかったのかも知れない。それがアシスタントであろうがなかろうが関係ない。スマートで堂々とした姿が今でも頭から離れない。この時すでに世界のファッションフォトグラファーとして活躍されている時だったし、一流の仕事をしてる人は全然偉そうじゃなく、なんてしなやかなんだろうと思った。偶然でもその場に居られた時間は私の財産になる経験だ。たった数十分でこれだけ人に影響を与える存在ってすごいと思う。

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↑パリにて。SAIKUSAさんに出会った頃。

そしてパリ滞在中もカフェでお会いして、みんなで話をした記憶があるが初対面の印象が強すぎて、その先はほとんど覚えてない。その後、パリから日本に一時帰国された時は「一時帰国しました」のお知らせをいただいていたので、SAIKUSAさんとお仕事したい旨を話し、いつかご一緒したいと思いつつ、結局、一度もご一緒することができなかった。突然の訃報に今も心がザワつく。享年62。心からご冥福をお祈りします。

うまうま

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