umauma-gohan diary

〜サンフランシスコの暮らしと日々のうまうまごはん日記〜

悲しい恋の物語

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Blue Willow

「ブルーウィロー」という食器をご存知でしょうか?白地に青でオリエンタルな図柄が描かれている食器です。先日、またナイルズのアンティーク街に行ってきました。ここ最近、小旅行気分で電車とバスを乗り継いでナイルズまで行くのが楽しみになり、この日はブルーウィローを見つけたので買って帰りました。オリエンタルな図柄ですがこれはイギリスの伝統的な食器なのです。イギリス製なのにオリエンタル……気になって調べてみたら、この図柄には「悲しい恋の物語」がありました。今日はブルーウィローのはなしです。

ウィローパターンとは

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図柄をよく見ると、柳、二羽の鳥、小舟、楼閣、橋をわたる人が描かれています。白地に青でこのパターンが描かれた食器を「Blue Willow (ブルーウィロー)」と呼びます。ウィローは英語で「柳」を意味します。18〜19世紀にかけて、英国人の間でシノワズリー(中国趣味)が流行し、同じパターンの食器がミントン社、ウェッジウッド社、ロイヤルドルトン社をはじめ多くの窯で作られたそうです。図柄が微妙に違っても、この図柄に登場する、柳、二羽の鳥、小舟、楼閣、橋をわたる人は変わらない伝統的なパターンになります。そして、これらの要素には悲しい恋の物語が秘められています。

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↑先日購入したオールドウィローのボウル。

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↑目を付けていた小ぶりなオールドウィローの楕円皿。少しお安くなっていたので購入。

ウィローパターンの悲しい恋の物語

昔あるところに、美しい娘を持つ官吏がいました。官吏は自分の娘を権力者に嫁がせようと企み、娘を楼閣に幽閉しました。娘の身の回りの世話は侍女(じじょ)たちが行い、誰も娘には近づけませんでした。(★図柄の中央右に大きな塔があります。その左隣に描かれているのが娘が幽閉された楼閣です。下部には柵が描かれています。)ある時、官吏の部下の青年が娘に恋をしました。しかし部下といえども楼閣に近づくことはできません。そこで青年は娘にあてた手紙を貝殻にのせて川へ流しました。娘もまたそれに返信し、青年と娘は愛を深めていきました。とうとう娘の結婚式の日になりました。その日は盛大な宴が開催されました。結婚式の参列者たちが酔っぱらった頃、青年は楼閣に忍び込み、娘の部屋に辿り着きました。二人は抱き合い、このまま一緒に逃げることを決意します。しかし、逃げる途中で見つかってしまいます。橋を渡って逃げた二人を官吏が追ってきます。図柄の左下に橋を渡る三人の姿があります。逃げる二人とそれを追う官吏の姿です。)なんとか逃げ延びた二人は、小舟で遠くにある島に辿り着き、そこで農民として暮らしはじめました。図柄の左上に見えるのが、小舟と辿り着いた島です。)怒り狂った官吏は、侍女たちを捕まえて投獄しました。そして二人の捜索を部下に命じました。二人を見つけることができぬまま、数年の時が流れました。そこで官吏は、娘の侍女たちを牢屋から開放しました。何も知らず青年と娘のもとにむかう侍女たちを追跡したら、とうとう二人は見つかって捕らえられ、塔の下の迷宮に入れられてしまいます。絶望した二人はお互いの手で命を絶ってしまいました。二人を哀れんだ神さまは、二人の姿を鳥に変えました。鳥になった二人は永遠の愛で結ばれましたとさ。(★図柄の上部でなかよく空を飛ぶ鳥がいます)

日本製のブルーウィロー

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↑日本製のブルーウィロー。イギリス製に比べるとインクモリモリで版ズレもあり上品さに欠けますが、個人的にはこの不恰好さが愛らしくて気に入っています。これは「moriyama vintage」のもの。他に「JAPAN」とだけ印字されたものも見たことがあります。

ウィローパターンは日本にもいつしか持ち込まれ、日本製もたくさん生産されました。私がブルーウィローと出会ったのは、近所のアンティーク雑貨店で見つけたのがきっかけです。食器の裏をみると「moriyama」made in japanとあり、逆輸入された食器なのかと思って、手頃な価格だったので購入しました。その後、友達とアンティークショップに行った時、友達にそんな話をしたら、日本製は割と手頃な価格で買えるので友達も買って帰りました。その友達が日本に一時帰国した時、実家に帰ったら、この日本製の食器がごっそり出てきたそうです🤣 彼女のお父さんは骨董市に出品するのが好きで、色んなものを収集する趣味があり、多分、売れ残ったものを家で使っていたのかもしれないと言ってました。あるところにはあるんですねー。当時、日本製のブルーウィローは身近にあった食器なのかもしれませんね。

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私はもともと藍色の食器が好きなのと、このコマヌケた鳥の顔に一目惚れしました。後になってブルーウィローの歴史や物語を知りました。私のような的外れなところから好きになった人もいるかもしれませんね😅

後日談

さてさて、こんな話をしながら現実に引き戻すようですが、実はウィローパターンの悲しい恋の物語には裏話があるのです。この恋物語をもとにウィローパターンが考えられたのではなく、先にウィローパターンがあって、販売促進のために後から考えられた物語なんだそうです。 ありがちな話といえばそれまでですが、当時(1780年ごろ)はヨーロッパでシノワズリ(中国趣味)が流行っていた背景もあり、この販促用の物語のおかげもあって大変売れたそうですよ。はじめは興味がなかった人もこの物語を知ってからハマった人もいるようですし、この物語がきっかけで今でもウィローパターンはたくさんのファンに親しまれているようです。

『イギリス、アンティークな暮らし。』

〜イギリスの田舎、築500年の家に住む夫婦の日常〜

最近ハマっているYouTubeです。イギリスアンティーク繋がりでご紹介してみますね。奥さまのセンスが素敵すぎていつも見惚れています。インテリアから庭造りまで、すべてご夫婦でやってらっしゃるところも魅力です。築500年の家を維持するだけで大変なのに自分たちの手で改良していかれる姿は素晴らしい。我が家も100年以上経った家ですが到底及びませんね。そしてキャンピングトレイラーがめちゃくちゃ素敵なんです。お時間あれば覗いてみてください。#目の保養👀

↓↓↓こちらはステキな恋の物語。自己紹介とイギリス暮らしのQ&A。ブルーウィローも登場します。

↓↓↓モモ犬と英国紳士のお友達のハナシ。奥さまのもも犬に対するコメントが沁みます。

ウィローパターンの悲しい恋の物語。途中で現実的な話を挟んでしまいましたが興味を持っていただけたら嬉しいです。

うまウィロー

All photos by umauma

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